- 2013-05-17 (金) 21:47
- 園だより
ろりぽっぷ 874号 2013年5月17日
子育てに不安はつきものですが、お母さんたちは具体的にどういうことに不安を抱いているのでしょうか。私の敬愛する精神科医の佐々木正美先生は著書「子どもへのまなざし」で次のように書いていらっしゃいます。
1つめは、よく雑誌などに子どもの体や行動の発達表などがのっていますが、そういうものと比較しながら、自分の子どもが思うように発達していない、そこに書かれているマニュアルどおりに、育児をやろうとしても、うまくいかないということがあります。
2つめに、夫との会話が少なく孤立感を強くもっているということ。3つめは、働いていた女性が子どもを産んで仕事をやめ、いままでの会社の同僚とも話す機会も少なくなり、また、たまに会っても、話が合わなくなり疎外感を感じてしまうということ。これら3つの要素がまじり合って、育児がうまくいかないことを、育児不安とよんでいるように思います。
そこで2つめの夫とのかかわりについて引用してみました。
育児にかんして、夫、つまり子どもの父親の協力というか関係について、いくつかの調査がしてあります。子どもの父親が、育児を協力してくれると母親が感じている場合には、お母さんは疲労を感じにくい、いらだちも感じにくいということがはっきりわかります。それは夫に手伝ってもらう分だけ、手がはぶけて楽になると思えるからかもしれません。入浴を手伝ってくれる、おむつの取り替えを手伝ってくれる、泣いたらあやしてくれるとか、いろんな場面で、夫が育児に協力的に手伝ってくれる場合に、お母さんは疲労を感じにくい、いらだちを感じにくい、同時に不安も小さいのです。まず、こういうことが調査の単純集計でわかりました。
さらに、ここで興味深いことがわかりました。育児はほとんで手伝ってくれないが、日常の生活において、夫とのコミュニケーションに満足を感じているお母さんは、おなじように疲労を感じにくいし、いらちにくいし、不安も感じにくいのです。ですから、具体的に育児そのものを手伝ってくれる、これはもちろんたいせつなことです。けれども、ほとんど手伝ってはくれないが、夫との日ごろのコミュニケーションに充分満足しているという母親と、夫が育児に協力してくれると感じているお母さんとでは、調査結果で読み取れるものには、ほとんど差がないということです。このことはとても興味深いことです。
ですから、少なくとも子どもの父親というのは、子どもの母親、つまり奥さんとのコミュニケーションをすることが、とてもたいせつなことのようです。育児そのものをじっさいに手伝えれば、それにこしたことはありませんが、奥さんと会話をすることも、たいへん重要なことなのです。
私たちは夫婦のあり方に満足していれば、疲労感が少ない、いらだちが少ない、不安が少ない、育児も上手になると、こういうことのようです。この関係は、じつは夫との関係以外にも、夫の実家との関係とか、自分の実家との関係とか、近所の友人、知人との関係とかが、多ければ多いほど、しかも、それらがうまくいっていればいるほど、おなじ効果をもつということも、調査結果は明らかにしてくれました。
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